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アルミニウム合金の種類と特徴を解説|用途別に最適な選び方とは?

アルミニウム合金の種類と特徴を解説|用途別に最適な選び方とは?

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アルミニウム合金の種類と特徴を解説|用途別に最適な選び方とは?

軽量かつ高い耐食性を持つ「アルミニウム合金」は、自動車部品から航空機、建材、電子機器まで、さまざまな分野で使用されている汎用性の高い素材です。その一方で、アルミニウム合金には1000系から8000系までの多彩な種類があり、それぞれ性質や適した用途が異なります。

顧客が求める用途や加工内容に最適な材料を提案するためには、アルミニウム合金の種類と特徴を正しく理解することが欠かせません。この記事では、主要な合金系統ごとの特性、用途別の選定ポイント、加工時の注意点をわかりやすく解説します。また、ダイジェット工業が提供する加工性を高める超硬工具についてもご紹介いたします。

1.アルミニウム合金とは

アルミニウムの基本特性と用途の広がり

アルミニウムは軽量で加工性に優れ、さらに耐食性や電気伝導性も高いことから、さまざまな工業製品に用いられてきました。自動車、航空機、鉄道などの輸送機器をはじめ、建築資材、包装材、電子部品など、用途は非常に広範に及びます。

この汎用性の高さを支えているのが、用途ごとに最適な物性を持つアルミニウム合金の存在です。元素の組み合わせにより特性を調整できるため、設計や用途に応じた選定が可能となります。

純アルミニウムと合金の違い

純アルミニウム(1000系)は非常に柔らかく、成形加工や耐食性に優れる一方で、強度面では制約があります。これを補うために、銅、マンガン、シリコン、マグネシウムなどの元素を加えた合金が多数開発されてきました。これにより、熱処理による強度向上や耐摩耗性の向上が可能となり、構造材や機械部品としての用途が拡大しました。

2.アルミニウム合金の主な種類と特徴

1000系(純アルミニウム)

99%以上のアルミニウム純度を持ち、最も加工性と耐食性に優れる合金系です。導電性・熱伝導性も高いため、電気・電子分野や装飾用途などに使用されますが、強度は低めです。

2000系(Al-Cu系)

主に銅を添加した合金で、熱処理により高い強度が得られます。航空機構造材などに用いられる反面、耐食性がやや劣るため、表面処理が必要とされる場合があります。

3000系(Al-Mn系)

マンガンを添加した非熱処理型合金で、耐食性と成形性のバランスに優れています。屋根材、外装材、調理器具などに利用されています。

4000系(Al-Si系)

シリコンを多く含むことで、耐摩耗性と耐熱性が向上した合金です。エンジン部品や溶接材料、潤滑の必要な摺動部材に使われます。

5000系(Al-Mg系)

マグネシウムを主成分とした合金で、強度と耐食性の両立が可能です。溶接性も高いため、船舶、車両、橋梁、構造体など幅広い分野で用いられています。

6000系(Al-Mg-Si系)

マグネシウムとシリコンを添加し、熱処理で高い強度と良好な加工性を持たせた合金系です。押出成形や機械加工に適し、自動車部品、建材などに広く使われています。

7000系(Al-Zn-Mg系)

亜鉛とマグネシウムを添加し、極めて高い強度を誇る熱処理型合金です。航空機や自転車フレームなど、高強度が求められる用途に適していますが、耐食性は比較的低いため防食処理が前提です。

8000系(その他用途向け)

鉄やリチウムなど、特定用途向けの添加元素を含む合金で、特に電線・リチウム電池ケース・箔材などに利用されます。特殊性の高い用途に対応する素材群です。

3.アルミニウム合金のメリットとデメリット

軽量性と加工性の高さ

アルミニウム合金の最大の特長は、鉄や銅に比べて約1/3という軽さです。軽量なため、構造物や部品の軽量化に貢献し、輸送効率や燃費改善にもつながります。また、展延性に優れており、曲げ・引張・プレスといったさまざまな加工に適しています。

耐食性・導電性・リサイクル性

酸化被膜により自然に保護されるアルミニウムは、腐食に強く、屋外や化学環境でも安定した使用が可能です。電気や熱を通しやすいため、電気機器や熱交換器にも使用されます。さらに、アルミニウムは溶融再生が容易で、リサイクル性の高いエコ素材としても注目されています。

機械的強度や溶接性の制約

一方で、純アルミニウムや一部合金は機械的強度に限界があり、構造材として使用するには補強や工夫が必要です。また、合金の種類によっては溶接に適さないものもあり、溶接割れや強度低下に配慮が求められます。

4.用途別にみる最適な合金の選び方

自動車・輸送機器向け

自動車の車体や内外装部品には、軽量で成形しやすく、かつ強度も確保できる6000系が多用されています。荷台やパネル類には、耐食性に優れた5000系も選ばれます。重量の軽減は燃費向上や電動化対応にも直結します。

航空機・宇宙機器向け

極限の強度と耐久性が求められる航空機材には、2000系や7000系といった高強度系が採用されます。これらは熱処理によって強化されており、重量制限の厳しい機体設計に欠かせない材料です。

電子部品・建材・包装材向け

電子機器には、導電性に優れた1000系、3000系などが利用され、建材では耐候性を重視して5000系や6000系が選ばれます。また、アルミ箔や飲料缶などの包装分野では、加工性と衛生性に優れた8000系が採用されています。

5.加工時の注意点と工具選定

アルミ加工における切削抵抗とバリ発生

アルミニウム合金は切削しやすい反面、軟らかいために「バリ」や「切りくずの巻きつき」が起きやすい傾向があります。特に高速切削時には、切りくずの排出性や表面粗さへの配慮が不可欠です。こうした課題に対応するには、切れ味の良い工具、最適な切削速度、適切なクーラントの使用が重要になります。

6.まとめ

アルミニウム合金は、軽量性、耐食性、加工性といった優れた特徴を持ち、さまざまな用途に合わせて多彩な合金が開発されています。選定の際には、素材ごとの特徴を正しく理解し、目的や使用環境に最も適した種類を選ぶことが重要です。一方で、加工時にはバリや工具への影響といった特有の課題もあるため、工具選びや切削条件の最適化が求められます。ダイジェット工業では、アルミニウム合金の加工に適した超硬工具を多数取り揃え、加工現場の課題解決をサポートしています。

材料の選定から加工まで、トータルでのご提案をお求めの際は、ぜひダイジェット工業公式サイトをご覧ください。

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