インコネル718とは?特性・用途・加工のポイントを徹底解説
航空機のジェットエンジンやガスタービン、自動車の排気系、さらには宇宙開発や発電プラントにも採用されて...
ダイジェット工業株式会社
インコネルは、高温環境下でも優れた耐熱性・耐食性を発揮するニッケル基合金で、航空宇宙や自動車、発電プラントなどの最先端産業で広く活用されています。特に、ジェットエンジンやタービン部品、排気系コンポーネントなど、極限の環境で求められる耐久性を備えた材料として注目されています。近年、日本国内の製造業では高機能材料の需要が増加傾向にあり、インコネルを活用した製品の精密加工が求められています。しかし、インコネルはその高硬度と耐熱性のため加工が難しく、一般的な切削工具では摩耗が激しくなり、加工効率の低下が課題となっています。本記事では、インコネルの基本特性や用途、加工のポイントを分かりやすく解説します。
インコネル(Inconel)とは、主にニッケル(50%以上)を基盤とする超合金であり、高温環境でも優れた耐熱性・耐食性を発揮するのが特徴です。クロム、鉄、モリブデン、コバルトなどを添加することで、特性を強化しています。
代表的なインコネルには以下の種類があります。
・Inconel 600:耐熱性・耐酸化性に優れ、化学工業や原子炉に使用
・Inconel 625:耐食性が高く、海洋産業や航空宇宙に使用
・Inconel 718:高強度で、ジェットエンジンやタービン部品に使用
・耐熱性:摂氏1,000℃以上でも高い強度を維持
・耐食性:酸や塩化物に対する耐性が高い
・機械的強度:高い強度と靭性を持つため、高負荷環境に適応
インコネルは以下の特性により、加工が難しい材料とされています。
・高硬度:切削時の負荷が大きく、工具摩耗が激しい
・低熱伝導率:切削時に発生する熱が工具に集中し、摩耗や損傷を引き起こす
・工具摩耗の激化:超硬工具でも寿命が短くなる
・切削熱の発生:発熱が高く、工具の損傷や加工精度の低下につながる
インコネルの切削加工では、以下の点が重要になります。
・適切な切削速度:低速(30~50m/min)での加工で発生熱を抑制
・適切な一刃当りの送り量:0.1mm/刃程度で工具の摩耗を抑制
・冷却対策の徹底:工具内部からのクーラント供給や高圧クーラントを用いて、熱の蓄積を抑制
放電加工(EDM)や研削加工は、切削加工と比較してインコネルの加工性を向上させる手段として有効です。
・放電加工(EDM):刃具の摩耗がなく、複雑形状の加工が可能
・研削加工:精密加工に適し、表面仕上げが良好
・高能率加工技術:高圧クーラントや特殊コーティング工具の活用
・5軸加工技術:複雑形状部品の精密加工を可能にする
インコネルの加工には、耐摩耗性と耐熱性に優れた超硬工具が不可欠です。
・耐摩耗性:コーティング(TiAlN、AlCrN)を施した超硬工具が有効
・耐熱性:高温環境下での耐久性が求められる
ダイジェット工業では、インコネルの高精度加工に最適な超硬工具を提供しています。
インコネルは航空・自動車・発電分野で活用される高機能材料ですが、加工の難しさが課題となります。適切な加工条件の設定と超硬工具の選定により、高精度・高効率な加工が可能となります。ダイジェット工業の超硬工具を活用し、インコネルの高精度加工を実現しましょう。