インコネル718とは?特性・用途・加工のポイントを徹底解説
航空機のジェットエンジンやガスタービン、自動車の排気系、さらには宇宙開発や発電プラントにも採用されて...
ダイジェット工業株式会社
耐熱合金は、高温環境でも優れた強度や耐久性を発揮する金属材料として、航空機や自動車、金型業界などで幅広く活用されています。特に切削加工においては、耐熱合金に適した工具選びが加工精度や生産性を大きく左右します。最近では、次世代航空機や電動車両の需要増加に伴い、耐熱合金の需要も高まり、加工現場では最適な工具選定が課題となっています。この記事では、営業担当者が顧客に提案する際に役立つ、耐熱合金の基本知識から適切な切削工具の選び方までを詳しくご紹介していきます。
耐熱合金とは、高温環境下でも機械的性質を維持し、強度や耐久性、耐食性に優れた特殊な金属材料です。一般的な金属では600℃以上の高温で強度低下や酸化が進行しますが、耐熱合金はそれ以上の過酷な条件でも安定した性能を発揮します。特に航空機エンジン、自動車の排気システム、金型製造など、極めて高温にさらされる部品や構造物に用いられ、信頼性や安全性を支える存在です。現代の高性能機械には欠かせない材料といえるでしょう。
耐熱合金が選ばれる理由は、大きく分けて3つの特長が挙げられます。
1,000℃を超えるような高温環境下でも、機械的特性を維持できる性能を備えています。高温で長時間使用しても、塑性変形や破断を起こしにくく、安定した運用が可能です。
酸素や化学薬品による腐食や酸化を防ぐ特性があり、特に高温下での酸化被害を抑える効果があります。これにより部品の寿命延長とメンテナンス負担軽減が期待されます。
高温でも優れた強度を維持できるため、薄肉化や軽量化が求められる構造にも採用しやすく、設計自由度の向上に貢献します。これらの特性により、航空・自動車・金型など、最先端のものづくり現場で需要が拡大しています。
耐熱合金とひとくちに言っても、用途や環境に応じて最適な材質は異なります。ここでは、主要な耐熱合金を3種類ご紹介します。それぞれの特性を理解することで、加工現場での適切な工具選定や提案が行いやすくなります。
チタン合金は、耐熱合金の中でも特に軽量で高強度という特長を持つ金属材料です。比重が約4.5と、鉄の約60%の軽さでありながら高い強度を発揮するため、航空機や宇宙産業で多用されています。
耐熱性はおおむね600℃程度まで対応でき、耐食性にも優れているため、海水や酸性環境でも性能を維持します。航空機の機体構造材やエンジン部品、自動車ではスポーツカーの排気系部品など、軽さと強さが求められる場所で活躍しています。
ただし、加工が非常に難しい素材としても知られており、加工硬化や熱伝導率の低さにより、切削工具への負担が大きくなります。
ニッケル基超耐熱合金は、耐熱合金の中でも最高クラスの耐熱性を誇る材料です。特に高温下での強度保持能力が非常に高く、1,000℃以上の環境でも性能が劣化しにくいため、ジェットエンジンのタービンブレードや燃焼器、ガスタービン部品などに用いられます。
また、ニッケルは耐食性や耐酸化性にも優れているため、長時間高温環境に晒される部品でも安定した運用が可能です。加工は極めて難しく、切削時の発熱量が多くなるため、専用の超硬工具や適切な切削条件が必要不可欠です。
コバルト基超耐熱合金は、耐摩耗性と耐食性に特化した合金で、熱間金型や医療用機器、航空部品などで使用されています。特に、熱や衝撃に強く、繰り返しの熱サイクルにも耐えるため、プレス金型や鍛造金型にも適しています。
コバルト基合金は、ニッケル基合金と比較して硬さが高く、切削工具に対する攻撃性が非常に強い素材です。そのため、加工時は工具摩耗が進みやすく、工具寿命を意識した選定や条件設定が求められます。
これらの特性を考慮して、最適な工具の選択や加工方法の工夫が重要なポイントとなります。
耐熱合金は、その名の通り高温環境に強い優れた素材ですが、その特性がゆえに加工時の難易度が非常に高くなります。特に、切削加工においては工具に大きな負担がかかり、適切な工具を選ばないと生産効率の低下や品質不良を招く恐れがあります。
耐熱合金は熱伝導率が低いため、切削時に発生する熱が工具先端に集中しやすく、急速に温度が上昇します。これにより、以下のような課題が発生します。
高温環境にさらされることで、刃先の摩耗や溶着が進みやすくなります。これが加工精度の低下や工具寿命の短縮を引き起こします。
ワークや工具自体が膨張し、設計通りの寸法に仕上がらないリスクが高まります。これにより追加加工や再調整が必要になり、工数が増加します。
材料自体が硬く、かつ靭性も高いため、切削抵抗が大きくなります。これにより機械負荷が増し、振動やビビリが発生しやすくなります。
このような課題を解決するためには、耐熱合金専用の切削工具と最適な加工条件が求められます。
ダイジェット工業では、耐熱合金加工に最適化された超硬工具を開発・提供しています。特に、以下の特長が耐熱合金加工での課題解決に貢献しています。
耐摩耗性に優れた超硬素材を使用し、切削抵抗が大きい耐熱合金に対しても長寿命を実現します。
高温環境での切削を支える耐熱コーティングを施し、工具表面の酸化や摩耗を防止します。これにより、連続加工や高負荷加工でも安定した性能を維持します。
切削時の負荷分散を考慮した最適設計により、ビビリや加工面粗さの低減を実現し、高精度な加工品質を提供します。
これらの技術を組み合わせることで、耐熱合金加工における多様な課題に対応し、現場の生産性向上とコスト削減を支援します。
耐熱合金は、航空機や自動車、金型など高温環境下で使用される重要な素材ですが、その優れた特性ゆえに加工が難しく、最適な切削工具選びが重要です。ダイジェット工業は、耐熱合金加工に対応した高性能な超硬工具を多数ラインナップし、加工現場の課題解決を技術支援とともにサポートしています。顧客ニーズを理解し、最適な提案を行うことで、生産性向上とコスト削減に貢献していきましょう。